2017/07/26

私は台湾大学を卒業できたけれど


こんにちは、2017年現在、台湾大学を卒業して修士に進学したamikawaです。



台湾大学の人類学系を卒業したのはちょうど一年前(2016年6月)のことなのですが、卒業のことを記事にしていなかったので、台湾大学への進学を考えている方々に、台湾大学の学部を卒業した今の自分の考えをシェアしようと思っています。




このブログで紹介できる内容には限界があります

最近私のブログを読んでくださった方から、台湾大学に関する様々な質問をいただいたり、相談にのることが多くなってきました。これは私が当初ブログを開設した目的『台湾への正規留学に関する情報を公開して、これから台湾への進学を考えている人たちに情報提供をする』が少しずつ実を結んでいるようで嬉しく思う反面、ブログがある程度の影響力をもったことでの責任も感じています。

特によく読まれている『台湾大学への外国人学生の入学方法について』の記事でも書いていますが、私がこのブログで書ける内容というのは自分の体験した限られた範囲のことです。具体的にいうと、人類学系での学部生活や現在の図書情報学研究所での修士課程の一部、また台湾奨学金の申請などです。

そのため同じ台湾大学とはいえ、他の学科のことについてはわからない部分も多いですし、他の大学のことになるとさらにわかりません。なので質問を頂いたときも、私の知識外の内容に関しては「直接大学(や移民局など専門の機関)に問い合わせてください」としか答えることができません。

繰り返しますが、このブログはあくまでも私個人の経験をシェアしているものであり、大学の公式の見解ではありません。台湾大学への留学に関して、このブログがある程度のヒントにはなるかもしれませんが、実際に進学を考える際には必ずご自身で一次資料をあつめて判断してください。


外国人学生が台湾大学を卒業するのは難しいのか?

日本人が台湾大学へ入学するには外国人枠があるので、台湾人の学生と一緒に入学試験を受ける必要はなく、彼らと比べると入学は容易だと言ってもいいかもしれません。

しかし卒業に関してはその人の言語能力や学科、それに対する学力などが絡んでくるので、誰にとっても容易であるとは言い難いです。幸い私は同級生の助けも大いにあり4年で卒業することができましたが、同じ外国人留学生でも一年留年(中国語では”延畢”)して卒業した同級生もいますし、大学3年になっても中国語能力が足りず必修の國文が履修できない外国人の同級生もいました。それ以外にも1年次にすでに退学を決めた同級生もいました。

ちなみに延畢に関しては、一部の台湾人の学生はダブルメジャー(もしくは副専攻や學分學程)をとっている、または交換留学に行っていた、というタイプの同級生もいますので、一概にネガティブなものではないことがあります。

ともかく、卒業に関しては四年でできるかできないかは人によって異なるので、私が人類学系を卒業できたからといって、全ての日本人学生にとって台湾大学は卒業しやすい大学かというとそうではありません。

私より2年早く台湾大学に入学され、台湾大学の歴史学系を卒業された後に台湾の現地企業に就職されたhorieさんも、以前ブログでこのようなことを述べています。

私自身は4年で大学を卒業しましたが、同時に入学して現在6年目をやっている学生も知っていますし、私の次の年に入学した日本人学生が5年目をやっているのも知っています。しかし、4年で卒業した人もいますし、卒業が難しいのか?と言われれば一概には言えません。その難しさを上手に回避して卒業した学生も知っています。ですから、それこそ人それぞれどうやるかなのです。

 私自身が5年間で苦労をしなかったか?と言われたら、苦労した部分はあるでしょう。しかし、その苦労を全ての人が同じように経験するわけではないでしょう。学科によって科目の内容が違いますし、優秀な人は本当に素晴らしい成績を獲って、あっさりと卒業して行きます。大変だったな、と言うのはあくまでも各個人の主観や感じ方でしかありません。私自身も大変だったと感じた部分もありましたし、手を抜ける所は抜きました。それこそ、人それぞれのやり方でやるしかない、と思っています。  
台湾大学の本科留学は、どのくらい大変なのか?より

「卒業が難しいかは人(学科)によって違う」というと答えとして不完全かもしれませんが、私が卒業できたからといって「誰でも台湾大学を卒業できる」と断言してしまうのは大きな問題があります。

それでも台湾大学卒業経験者として、卒業するためにいくつか私が実践してきたコツをシェアしたいと思います。


  1. 入学する学科を決める際に、学科の必修や選択科目を研究する
  2. まじめにやっている姿を見せる
  3. 孤立しない、相談する


入学する学科を決める際に、学科の必修や選択科目を研究する

入学してから自身の興味と学科の必須単位のミスマッチが起こらないようにするのが大切です。

過去記事:
【台湾大学入学】希望学科を決める際に各学科の必修科目を調べる方法

以前この記事に書いていますが、入学申請をする際に、まずは大学のサイトで情報収集をして、学習計画を書くと思います(※学科によって必須でない場合もあります)。

できれば授業の名称だけでなく、ceibaに記載されている教科書や毎週の内容まで調べるのがいいと思います。

その際に「自分はどんなことに興味があるのか?」、「将来どんなことをしたいのか?」など考えると思います。色々な大学の学科を比較したり、自身のやりたいことについてよく考えることで、入学してから「こんなはずじゃなかった…」という後悔をある程度避けることができます。

ただ私自身は、少数民族の文化や民族観光に興味があって人類学系に入学したものの、2年次の史前史の授業が面白くて、興味が考古学方面に流れたという経験があるので、「興味が変わる可能性」があることは否定しません。私の場合幸いにも学科は変わりませんでしたが、入学してから興味の幅が広がったり、全く変わったりして、転学科を考えることもあるかもしれません。

まじめにやっている姿を見せる

台湾人の同級生は人が良いひとが多く、幸いグループワークでも一人ぼっちにならずに済んできました。中国語がネイティブでない私は、同級生にとっては負担の大きい存在です。なのでグループワークの際に、リーディングの量を調整してもらったり、あまり難しくない仕事を担当させてもらったりと、何かと同級生の好意に甘えてきた自覚があります。

そういった負い目もありましたし、必要以上にグループの負担となってはいけないという思いから、締め切りはかならず守る、授業には必ず出席するなど基本的なことを遵守することを意識してきました。「外国人なんだからできなくてもしょうがない」という態度を出さず、できることをまじめにやっていくのが大切です。

孤立しない、相談する

これはとても大切です。

たとえば一度授業をさぼると次から行きにくくなったり、リーディングが終わっていないから授業に行くのが気まずかったりなどということがあります。こういうことが続くと教授やティーチング・アシスタントを恐れるようになってしまいます。また、同級生に授業の内容や進度などを聞きにくくもなります。

こうならないように、普段から教授やTAに質問しにいったり、課題は締め切りまでに提出することが大切です。学期の最初が肝心です。もしリーディングの量が多くて読みきれないなど困難がある場合はTAに相談しましょう。できないまま一人で悩んでいると悪循環に陥るので、早めにTAに相談しましょう。自分がなにに困っているかを伝えたら、何かしらの手助けをしてくれると思います。

その他のコツ

台湾大学の学部の成績の基準はC-以上であればそのクラスの単位を取得できます。最悪成績全てがC-であっても、卒業に必要な単位さえ揃っていれば卒業できます。苦手な科目も「最低C-あれば大丈夫」の信念をもって臨みましょう(?)

選課の際にそのクラスについてよく調べましょう。課號が1000台のクラスは低学年向け、7000台以上は修士課程の学生向けクラス…などのルールがあります。また、選択科目のテストの有無、グループワークの有無、通識を兼ねたクラスか否か(一般的に通識のクラスの方が難易度が低い)などをよく調べて、自分に有利なクラスを取るようにすると負担が少ないかもしれません。(それが本当に興味のあるクラスか、自分のためになるかはまた別の問題です)




(私が列席した104年度の卒業式の様子です)

卒業後の進路は?

大学を卒業したら、気になるのはその後の進路だと思います。私は大学卒業後就活を経験せずに修士に進学したので、『台湾大学卒業』の学歴が労働市場でどのくらいの効果を持つのかはわかりません。

前述のhorieさんは台湾大学の歴史学系を卒業したのちに、前職の経験も生かして台湾現地の企業に就職され活躍しています。もし現地就職に興味がおありでしたら、ぜひhorieさんのブログを読みにいってみてください。

ただ、台湾は休日が少ない、給料が少ない上に台北の場合は物価の上昇が激しいなどの問題があります。「台湾が好き・台湾で暮らしたい」と思っていても、現実的には厳しいこともあるかもしれません。いくら旅行者に優しい台湾社会だとはいえ、台湾だって暮らしてみたら楽園ではないのです。学生の身分ですとこの点ではまだまだ気楽ですが、働くとなると厳しい現実に直面することになるかもしれません。




卒業式の後、学科ごとの卒業パーティ。校史館にて。

最後に

卒業に関して思うことを書いていたらまとまりのない記事になってしまいましたが、台湾大学を卒業するのは容易かと聞かれたら、やはり「ひと(学科)による」という答えになります。卒業するためには自身の努力が不可欠です。今回の記事で紹介したコツを意識して、留学生のみなさんの大学生活がうまくいくように願っています。

また、ただ卒業するだけでなく、『大学で何を学んだか』というのは数値にはできませんが、自身が一番実感する重要な部分だと思います。これから台湾の大学へ進学を考えている方は、『台湾大学に入学する』ことだけでなく、そこでどんなことを学ぶのか、中国語力以外に何を得られるのかを考えて欲しいと思います。

まだまだこのブログでもシェアしている内容は少ないので、遅筆ながらも何かしらみなさんのヒントになる記事が書ければと思います。質問がありましたらask.fmやツイッターのDMなどで連絡ください。

私もここで偉そうに書いていますが、これからも自分のために勉強・研究をしていきたいと思います。

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1 件のコメント:

  1. askにて質問を投稿させていただきました
    ぜひご回答いただければ幸いです

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