2015/08/09

人類学系のクラスばかり履修していた三年後期の振り返り


遅くなりましたが、三年後期の振り返りです。成績が8月某日にようやく出揃いました。

台湾大学の学部生生活も残すところあと1年かと思うと、

「イヤだ…!台湾大学というステータスを失いたくない…!」

「この肩書きがなかったら私はただの職歴無しニート!!」

という負の感情しかでてきません。


卒業怖い…!



さて、この学期は三年前期と同様22単位分のクラスを履修していました。時間割はこんな感じでした。
画像は網路選課系統より


月曜: なし

火曜: ヨガ
             オランダ語二・下
             考古學史

水曜: 考古田野實習・下
             考古學的詮釋與展示設計
             オランダ語二・下

木曜: 語言學
             オランダ語二・下
             文化資產與材料分析

金曜: 文物測繪





これで22単位なのですが、月曜は完全オフにしていたので辛さは少し軽減されています。

関連:二年後期を終えて、振り返り


(オランダ語のプレゼンのテーマが「オランダの歴史」だったので資料を探している図)

オランダ語二・下

履修した学生が6人だけで、授業時間はもともと木曜夜の4時間だったのですが、一気に4時間はキツイ…ということで、協議の結果3回に分けて行うことに。語学の学習なので、個人的には週3回のこの形式には満足でした。宿題は毎日はありませんでしたが、いままでの学期と同じように、中間・期末テストにディスカッション、プレゼン2回がありました。火曜と木曜は一般的には昼休みの時間なのですが、ここに授業をいれると、木曜は昼休憩の時間がなく、9:10から16:20までぶっ通し&総合キャンパスから人類学系の水源キャンパスまでの移動キツイ&毎週同じパンを食べてた…という学期でした。この学期でオランダ語一・上から使用していた「TOTAAL」という教科書全20課を学び終えました。

考古學史

その名の通り考古学という学問の歴史を学ぶクラスでした。人類学系の必修です。教科書は先生が毎週プリントしたものを配布(英語)していたのですが、クラスメイトが率先して中国語訳版をコピー屋で印刷していました。教科書まる一冊をコピー・製本したものでNT400ほどでした。授業の内容は歷史文化取向、傳播論、過程學派、後過程學派の代表的な学者の主張を学んで、各学派の比較などをしました。考古学の基本は類推、というところから民族誌の応用など、考古学に興味があるので、面白い授業でした。台湾の考古学研究の始まりは日本統治時代に遡るのですが、現在の台湾大学の人類学系で考古学を専門にしていらっしゃる教授はほとんどアメリカで学位を取っている方ばかりです。このクラスの担当教授もアメリカで学位取得組なので、日本の考古学(歴史学の一部としてとらえる)と比べると、やはりアメリカ寄り(人類学の一部ととらえる)のように感じました。


(冬休みに発掘した土器のかけら)

考古田野實習・下

前回と冬休みの発掘実習の続きでした。前半は台湾東部の花蓮のある遺跡で発掘してきた土器や石器などを洗浄する作業でした。私たちのグループは特に発掘した遺物が多かったので、授業以外の時間に、週9時間ほど作業していました。グループ5人のうち2人がほぼフリーライダーだったため、心が少々ささくれだちました(笑) まあ個人的にはひとりで黙々と遺物を洗ったり、分類するのは楽しかったし、標本室にはよく大学院生の先輩が来るので、いろんな話を聞けたという収穫もありました。学期の終わりには今回の発掘を正式な発掘の論文にまとめました。金曜日に履修していた、遺物の実測図を描くスキルがここで役に立ちました。割れた土器の修復も機会があればしたかったのですが、私たちの発掘したのものはほとんどが既にバラバラに割れて埋まっていたものだったので、大して修復できるものがなかったのが残念です…。


関連:考古学の発掘実習で花蓮に来ています。


(週9時間の遺物洗い)

考古學的詮釋與展示設計

考古学史と同じ教授が開講するクラスでした。人類学系には総合キャンパスに独自の博物館があり、常設展以外に毎年特別展を開いています。特別展のテーマは民族学と考古学を1年ごとに行い、今年は考古学の年でした。教授は博物館学の専門家ではないので、展示設計をしている専門家や、博物館学の学位を取得した先輩(現在台湾大学人類学博物館勤務)を招いて、毎週討論や発表を行いました。基本的には大学院生の先輩を中心に話が進んでいった感じです。私が貢献したことといえば、展示用の動物の歯の模型を作ったくらい…
(おかげで成績が悲惨だったので、履修したことを若干後悔)


(特別展のポスター)



(私が展示で唯一貢献した模型)

語言學

二年の必修なので、後輩に混ざって履修。前半は国際的な音声符号IPAの原則や、中国語のピンイン(外国人にとっては楽勝)などを学んだり、台湾の原住民族たちの言語、オーストロネシア語族の拡散を言語学的に研究する方法などの講演を聞いたり、それぞれの言語についてのグループ発表をしたりしました。私は香港・マカオ・マレーシア華僑の子達のグループに入れてもらったので、広東語について発表しました。学期の最後には好きなテーマについての発表があり、香港の國語教育(普通語教育)について発表しました。読書レポートの提出もあり、指定の「別睡!這裡有蛇」を読みました。これはアマゾンに住む民族の言語を研究する宣教師の話なのですが、面白かったので、言語学に興味があれば是非読んでいただきたい一冊です。言語以前に私たちの頭の中で起こっている「世界の認識方法」についていろいろ考えさせられます。


(「別睡!這裡有蛇」は今学期読んだ本の中でも特に印象に残っている

文化資產與材料分析

文化遺産に使われている各素材、ガラスや玉、木材、紙、布、染料・顔料などについて学ぶことから始まり、それらを化学的に分析する方法について学びました。化学の知識が必要な部分が多く、難しかったのですが、とても興味深いクラスでした。中間レポートのために何度も故宮博物院へ足を運び、展示物をずっと眺めていました。文化遺産って、知識がない人が見たらただ「すごいなぁ…」としか感想を持ちようがないことがわかりました(笑)物事を面白がるには教養が必要だと改めて感じたのも今学期の収穫です。前回の記事でも書きましたが、教授は事前に資料を配布したりしないので、授業への取り組みかたについても学んだクラスでした。優秀なクラスメイトとの研究レポートも本当に勉強になり、次の学期は自力でクオリティの高いレポートを書けるよう頑張っていきたいと思っています。

文物測繪

石器や土器などの遺物の実測図を描くクラスでした。教授が日本人だということもあり、日本の考古学界、台湾の考古学界についてなどの面白い話を聞けたり、私の進学(大学院へ
行くかは未定ですが、一応興味のある学部があり)について助言をいただいたりとお世話になりました。授業は道具を揃えることから始まり、まずは拓本をとったり、簡単な現代のお椀の実測図を描くところから始まりました。後半は実際に台湾の遺跡から出土した石器の実測図を描きました。日本の考古学界では今でも非常に実測図を描くことを重視しており、物をよく観察することの重要性を教授は何度も説いていました。ちょうど木曜の文化資產與材料分析のクラスも「物を観察する」という点で共通しており、同じ学期にこれらのクラスを履修できてよかったです。


(発掘した石器の実測図を描いてる)

関連:母語で教育を受けられるなら、今こんなに苦労してない

今学期もほぼ人類学系のクラスを取っていたので、それぞれのクラスが根底の部分で繋がっている感じがあり、その点ではそれぞれのクラスを履修していてもお互いに共通する部分もありました。それに今回履修したのはオランダ語とヨガ、言語学を除くと、すべて考古学関連といってもいい感じです。なので授業ごとにいろんなテーマの文献を読まなければいけない、ということがない分楽だったと言えるかもしれません。言語学も考古学とは直接の関係はなさそうに見えますが、実は「文化」や「認識」を考えるにあたっては完全に無関係ではないな、という感じ。成績はGPAだけで見ると0.03下がってしまったのですが、(完全に展示設計が足を引っ張った)それ以外に収穫の多い学期でした。三年は前期後期ともに人類学系のクラスばかりで重かったけど楽しかったです。

四年時なのですが、残りの単位は通識や、本来なら1年次の必修の「9科目10単位」という他の学科の必修(政治学、経済学、法学、哲学、地質学、生物学、世界史、社会学、心理学)をまだ終えてないので(社会学と心理学を履修済み)それをあと4単位分履修しないといけなかったりするので、人類学系のクラスは少なめになりそうです。



ask.fmで気軽に質問してください

twitterで毎日いろいろつぶやいています


Share:

0 コメント:

コメントを投稿

Booking.com

Newest Post

台湾大学は優秀な外国人学生を早く獲得したい?2020年度の入学申請期間が3ヶ月早まった件について

毎年9月に新学年が始まる台湾大学ですが、外国人学生の入学申請は例年だとその年の3月上旬が出願締め切りでした。ところが2020年度の入学分からは11月末が締め切り、1月上旬には合格発表されるというスケジュールの前倒しが起こっています。

Booking.com