2015/07/09

実力の無い人間が台湾大学に入学するととても苦労する




103年度後期の18週の授業が六月末に終了し、残っていた期末レポート四つをなんとか提出し終え、晴れて学部三年生が終了しました。

今回の期末レポートは、たまたま全てグループで行うものだったので、優秀な同級生にとてもお世話になり、特に優秀な学生の仕事を身近に見ることができ、とても勉強になりました。それと同時に優秀な同級生にかこまれて、自分の頭脳の弱さを痛感しています。



台湾大学は言わずと知れた、台湾トップの大学です。現地の学生はここへ入学するために長い間勉強して来たエリートばかりです。

(台湾大学の国際的なランキングは数あれど、大学総合のランキングでは全世界で100位以内、アジア内では20位前後といったところ。ちなみに学部別のランキングでは、台湾大学の電機系や歷史系が上位にランクインしています)

2015年QS排名 臺大電子、電機排名第15名 17個領域名列全球前50

台湾大学はこういった国際的なランキングをあげるために、学内の国際化を進めるという名目で、外国人学生に門戸を開いているので、入学するだけなら、それほど難しくはありません。

しかしですね…いくら外国人学生の入学は容易とはいえそこは台湾トップ大学。周りは優秀(な学生が多い)です。そこへ実力のない私のような人間が入ってしまうと、自分の頭の悪さをいやでも思い知ります。どうしても優秀な同級生たちと自分を比べてしまって、自己嫌悪に陥ります。


大学では中国語が「読めて、書ける」だけではどうにもならない


学部三年ともなると、レポートを書くときにぶつかるのが中国語の壁だけでないことをひしひしと感じます。一年の頃はただ中国語でなんとか文章を仕上げることだけに精一杯で、内容のことにまで頭がまわっていませんでした。まあそれは今も大して進歩していないかもですが…。さすがに三年生にもなって「自分は外国人だから」、「中国語は母語じゃないから」なんて言い訳しているのはさすがにダサいという現実…。

さて、今学期は「文化資產與材料分析」のクラスで、台湾人の過去に学科で成績優秀賞(書卷獎)を獲った同級生を含むグループでレポートを書くことになり、優秀な学生の仕事っぷりを間近で見る機会があり、とても勉強になりました。と同時に「いい成績をとるより、現地の学生に認めてもらう方がハードルが高い」と、個人的に感じています。

台湾の大学に通う外国人学生のぶつかる壁、というような研究論文を読んだことがあるのですが(下にリンクを貼っておきます。機会があればこの論文についてブログ記事を書こうかな…)、そこで挙げられている問題は主に「言語の壁」だったのですが、個人的にはそれだけじゃないと思います。

ちなみにその論文がこちら

  1. 外籍學生在台灣的大學適應議題之研究:以中興大學之泰國學生為例
  2. 越南籍學生在台灣的大學適應議題之研究:以中興大學為例


特に文学部でいうと、研究レポートを書く際に必要なのはロジックを組み立てる能力、つまり自分なりの考えを提示するために、それを裏付ける資料をさがす能力、資料を読み解く能力、資料を読む際に、その論理の弱い部分をみつけるクリティカルシンキングの能力、その他広範囲な時代や思想などの背景の知識など、必要な能力は多岐にわたります。これはただ「中国語が読めて、書ける」だけではどうにもならないことです。

私は文学院の学生なので理系学部のことはわかりませんが、聞いた感じでは微積分や化学などのテストはよりシビアに点数を付けられるので、学力がより物を言う世界だと思います。文学院のテストの多くは論述式のテストなので、○と×だけで点数が決まるわけではない分少し楽かもしれません。


母語でできないことは、当然外国語でもできない

ところで上記の能力があるかどうか、というのは「同じことを母語でできるか?」というのを基準にすると分かりやすいかもしれません。

今回優秀な同級生と3人グループで研究レポートを書くにあたり、彼女の細部に至るまで丁寧な仕事ぶりを身近で見ることができました。グループワークなので、各自資料探し、二週間に1回程度の討論、作業の分担などの仕事を、彼女がリーダーシップをとって円滑にグループを運営してくれました。研究レポートの書き方は「自分たちがこのレポートで解明したい”問題”はなにか」、「過去の学説はどんなものがあるか」、「それに対する自分たちの見解」、「それに反対する学説の弱点を指摘する」、「自分たちの見解を強化するためのデータを提示」、「結論」という手順に則ったものでした。出来上がったレポートは17ページに及ぶ大作だったのですが、頭脳が残念な私は同じことを日本語でやれといわれてもできませんね…。

中国語のライティングに関しては…



とはいえ最終的には学術的な論文を書くための中国語能力は必須です。今回とくにありがたかったのが、最後に私が書いたサマリーの中国語を同級生がきれいになおしてくれたこと。タイトなスケジュールの中でここまで丁寧に仕上げるとは、優秀な学生は本当に細部まで手を抜かないんだと思いました。このサマリーですが、右側が私が書いた物で、左側が直してもらった文章です。これで自分の中国語ライティングの改善方法がわかるのですごく嬉しかったです。

話は逸れますが、台湾大学には外国人向けの中国語強化クラスや必修の國文がありますが、どちらも生活に必要な基本的な中国語と、中国語の詩や小説を読むクラスなので、外国人向けのアカデミックライティングを学ぶためのクラスはありません。調べてみたら「外籍生學術中文寫作」というクラスを見つけたのですが、残念ながらここ数年は開講実績がありません。なので自分の学術的な中国語というのは基本的に普段読む文献を参考にしていくしかありません。

外籍生學術中文寫作
http://www.awec.ntu.edu.tw/course_inter_chinesewriting.html

卒業までに得られたのが「中国語だけ」では悲しい

大学で学ぶということは、自分で模索しながら知識や考え方を身につけていくことだと思います。今それを中国語でやっているんですが、卒業したときに得られたのが「中国語だけ」では悲しいことだと思います。私はここで人類学を専攻していて、特に考古学と博物館学を学んでいます。この分野を学ぶのに中国語はツールのひとつであり、他にも日本語や英語の資料もなんでも使います。

タイトルの「実力の無い人間が台湾大学に入学するととても苦労する」ですが、特に「台湾が好きだから」、「中国語が好きだから」という理由だけで台湾大学に入学してしまうと、四年間学問に対するモチベーションを保つのが大変かもしれません。大学は勉強するところですし、もともと専攻に対する好奇心が無いと、学部の後半からキツくなってくると思います。私自身、高校では勉強に興味がなかった優秀ではないタイプの人間ですが、学部で三年間を過ごしてみて、最近は「学術方面の成長」を意識するようになりました。

過去記事:
台湾の大学に通う留学生にとって進級は難しいのか?

過去記事:
外国人学生の成績評価をめぐる一つの葛藤

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大学はまじめにやるもやらないも自分次第




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