某知恵袋や筆者のaskにも似たような質問があるので、台湾大学正規留学に必要な中国語力について書こうと思います。
台湾の大学入学について
台湾大学を始め、台湾の国立・私立大学では外国人学生(國際學生)枠があり、基本的には指定の書類を集めて申請すれば入学することができます。学科によっては面接や筆記試験があったり、求められる中国語・英語のレベルも異なりますので、詳しくは各自で大学のサイトを参考にしてください。台湾大学の場合は「國立臺灣大學 國際事務處」から情報を検索することができます。
インターネットなどで「台湾の大学は入学が簡単で、中国語と英語を身につけられる」と言った宣伝をどこかで見たことがある方は、その宣伝文句だけを鵜呑みにしないで自分で大学のサイトを見るようにしてください。
大学は中国語を学ぶところではありませんし、知恵袋で「中国語はまだ話せないのですが入学できますか」というような質問もあったりして、そういうのを見るたびに何とも言えない気持ちになるので、今回は台湾大学正規留学に必要な中国語力について、自身の経験などを書いていこうと思います。
当ブログで台湾大学への入学申請を扱った記事はこちら
→台湾大学への外国人学生の入学方法について(ただ現在はすべてオンラインで申請するようになっているので、実際の申請方法はこの記事とすこし異なりますので、参考程度にしてください)
「國立臺灣大學 國際事務處」では毎年11月頃に翌年の外国人学生の募集要項が発表されます。
その中の「國際學位生」のメニューを見ると、入学に必要な情報は全て記載されています。
例えば外国人学生を募集している学科一覧、それぞれに必要な書類などは「年度系所申請規定及招生名額一覽表」から検索することができます。
今回は入学に必要な中国語力と、実際の授業についていけるかについて書いていきます。
申請基準の「進階級」ってどのくらいのレベルなのか
例えば人類学系の学部入学に必要な中国語力ですが、台湾の中国語試験 華語文能力測驗TOCFLの進階級となっています。(http://oiasystem.ntu.edu.tw/admission/foreign/requirement/dept.detail/id/33/degree/B/sn/199)
進階級の詳細を引用しますと、
針對一般職場、學校、休閒等場合,常遇到的熟悉事物時, 在收到標準且清晰的信息後,能瞭解其重點。在目標語言 地區旅遊時,能應付大部分可能會出現的一般狀況。針對 熟悉及私人感興趣之主題能簡單地撰稿。能敘述經驗、事 件、夢想、希望及志向,對看法及計畫能簡短地解釋理由 及做出說明。(https://oiasystem.ntu.edu.tw/admission/files/system/cefr/cefr_ch.pdf より)この程度の能力を指すようです。
”よく知っている物事—例えば職場、学校、休暇などの場面ではっきりとした情報を与えられた場合に内容を理解できる。旅行などではおおよその状況において対応可能。興味があってよく知っているトピックについて書くことができる。経験したことや出来事、夢やしたいことについて説明できる。”
このようなレベルにあたります。日常の限られた場面であればそこそこコミュニケーションがとれるレベルという感じでしょうか。
もちろん学科によってはもっと高いレベルを要求されたり、低いレベルでも入学を受け付けている学科もあります。
なので台湾大学に入学するには華語文能力測驗TOCFLの進階級があれば一概に可能とも言い切れません。
というわけで、学科ごとに入学申請に必要な中国語レベルは異なるのですが、実際それで授業は問題ないのでしょうか?
ちなみに中国語力の証明は華語文能力測驗TOCFLじゃないといけないのか?他の試験で代用可能なのか?これについては直接「國立臺灣大學 國際事務處」に問い合わせてください。
ノンネイティブは最初はみんな苦労している
私の入学当初の中国語力ですが、日本にいるときにHSK5級合格、その後台湾大学の言語センターで一年間中国語を勉強しました。そのときに旧版の華語文能力測驗(2011年に受験)で流利級に合格しました。ただ華語文能力測驗はその後内容がリニューアルされて、全部で6レベルに変更されています。なので現在のバージョンの試験では高階級くらいにあたると思います。
そのため入学申請時には基準を満たしていたのでここまでは問題ありませんでした。
でも問題は、大学は入学して終わりではなくて、講義を受けて単位を揃えて卒業することなんですよね。
実際の講義は「英文修課」のクラス以外は中国語で行われます。そして教科書は中国語(繁体字/簡体字)、英語です。
私の大学生活初めての講義は「普通心理學」だったのですが、教授は中国語を話しているのにスライドは英語だったうえ、そもそも心理学自体を初めて学ぶこともあり、非常に苦労しました。
いくら中国語力があっても、日常の会話と大学の講義では次元が全然違うことを思い知りました。
初めてのテストで「話し言葉じゃなくて、書き言葉で書いてね」と評価される
最初の学期ではこんなこともありました。最初の学期の必修科目「人類学概論」のテストはいわゆる論述問題だったのですが、テスト返却時の教授からのコメントにこんな風に書かれました。
你的中文已經非常好了,但假如可以再修改一下,用文章書寫而非口語的形式來答題,會更好。
(訳:あなたの中国語はとても上手だけど、できたらしゃべり言葉じゃなくて、書き言葉で書くともっと良くなりますよ)
意訳すると「お前の中国語は大学生にふさわしいレベルじゃない」ということをオブラートに包んで教えてくださっていますよね!!!
筆者の名誉の為にいっておくと、これ以外にもちゃんとテストの回答についてもコメントされてました。…が入学早々これはなかなかショックが大きいものでした。
中国語には話し言葉と書き言葉があり、両者の違いはなかなか大きいのです。
個人的に思うのは、語学センターでは中国語の「聞く、話す、読む、書く」スキルを総合的に習うのですが、「中国語の書き言葉(書寫)」は習わないんですよね。
(少なくとも一年程度の留学で、教科書「遠東三」あたりまでだと特別書面形式の中国語を習うことはない)
語学センターで正式なアカデミックライティングを習う授業がない上に、大学のライティングセンターも特にノンネイティブ向けのライティングクラスはここ数年開講していないので、一体どうやって外国人は中国語のアカデミックライティングスキルを身につければいいのか…という感じです。
また、レポートや論文の書き方について(形式、引用の仕方などのルール)は学科の必修科目「研究報告寫作」というクラスがありました。もしかしたら人類学系以外の学科でもこのような論文の書き方のクラスがあるかもしれません。
ですが形式以外の部分=中国語の書き言葉についてはこのクラスではカバーされていませんでした。
私がここで四年生まで勉強した経験から言わせていただくと、書き言葉を使えるようになるためには、とにかく中国語の学術論文を読みまくって、ネイティブが使っている中国語の書き言葉をパクるしかありません。
もし仲のいい台湾人の同級生がいれば、添削をお願いすると自分の書いた文章をどうやって書き言葉にレベルアップさせるかがわかるので良い方法だと思います。
講義では「聞く、話す、読む、書く」全てで高いレベルが要求される
大学では毎週リーディングがあったり、レポート提出があったり、時にはプレゼンもあります。実際の講義がどんな感じなのかは、台湾大学はいくつかのクラスをインターネット上で公開している「台大開放式課程」というページがありますので、是非見てみることをお勧めします。
YouTubeでも一部の講義の動画を見ることができます。
台湾大学に入学を考えていらっしゃる方は是非チェックしてください。
まとめ
- 入学基準のレベルは大学の授業についていけることを保証したものではない
- ノンネイティブはみんな最初は苦労してるから落ち込まなくていい
- 中国語の書き言葉はネイティブからパクろう
- 授業についていけるか不安なら「台大開放式課程」を聞きまくろう
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Follow @amikawa125
こんにちは。こんなにわかりやすい記事を作って頂いて本当に感謝しています。
返信削除私は、現在CLDで第3本書を勉強していて、来年の9月入学希望なのですが、
まだ中国語(特に難しい資料などになると)がよく読めず、この記事に出会えて
わかりやすく説明していただけて、本当に助かっています。
そこで、恐縮ながら質問させていただきたいのですが、
amikawa様は奨学金を利用していますか?
もし利用していらっしゃったらどのような経緯で奨学金の情報を
得られるのか教えていただけたら幸いです。
コメントありがとうございました。台湾の大学へ留学する際の奨学金について記事にまとめました。是非こちらをごらんください。
削除台湾大学留学で申請可能な奨学金について
http://amikawa.blogspot.tw/2016/03/blog-post_11.html
私はこの一年は大学から外国人学生向けの助学金を受け取っています。そちらについては過去のこちらの記事を参照してください。
来年度、大学の助学金をいただけることになりました
http://amikawa.blogspot.tw/2015/05/blog-post.html
こんにちは、
返信削除今年、中学になる娘を持つ母親です。
貴重な情報を発信してくださり、ありがとうございます。
amikawa様の留学前のワーキングホリデー+語学留学について質問があり、コメントいたしました。
(まとまりの無い長文で、申し訳ありません)
私は現在の日本の状況から、今後の日本では子供が生活できないのではと、危機感を持っております。
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<>内は、こちらのブログの主旨から外れますので非公開でお願いできますでしょうか。
もちろん、県名を○○に変換して頂ければ、amikawa様の判断で公開してください。
勝手なことで、申し訳ありません。
<
ご存知の通り、3.11以降、日本は放射能に汚染されました。
山梨に住んでいますが、いわゆるカナリア体質で、
震災後は東日本より北のものは一切食べていないにも関わらず、お腹を下す日々が続き、
風の強い日には、翌日から発熱します。
食べて応援の政府の政策のもと、汚染地の食品を日本中に流通させているため、
給食にも汚染地の食品が積極的に使われています。
最近は、福島の魚を堆肥として全国で販売しているためか、西日本の食品でも、半分は食べられません。
できるだけ検査済みの食品を取り寄せていますが、食卓はさみしいものになりました。
娘には、給食をやめてお弁当、体育は教室で待機など、対処しておりますが、
このまま暮らせそうにありません。
主人は、放射能には無理解ですが、高校卒業後は本人が望むなら留学したらと言っております。
娘の留学中、私は数カ月単位で日本と往復し、
ワーキングホリデー+語学留学後の進学or就職は、本人にまかせるつもりです。
チェルノブイリでは、保養に効果があったとのことで、
昨年までは、夏休み、冬休みに実家の西日本で過ごし、
海外に慣れるため、2週間はタイへ行ったりしていました。
今年は台湾でと思っています。
日本の外へ出る理由は残念なものですが、
タイではエマカイ駅のさらに先のプラカノン駅近くに滞在し、ローカルな市場をめぐりました。
観光に興味が無かったので、象も、寺院も、デパートにも行かず、フードコートや屋台を楽しみました。
娘は、辛い、すっぱいが苦手なので、私ほど楽しめないそうです。話しが逸れました。
>
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amikawa様のように、強い意志と能力があれば、大学への正規留学も考えたいのですが、
単位を取り、卒業するとなると、本人が自分で目標を持たなければなりません。
恥ずかしながら、
母親が、日本にいても仕方ないから海外の学校へ行きなさいと説明するだけでは難しいと感じています。
今のところ、
娘は英語の教室に通っている時より、youtubeを見た方が上達した経験から、
毎日娘と、スマフォアプリとyoutubeで英語と中国語の勉強をしていますが、五里霧中です。
夏休みには、親子で短期の語学留学をする予定ですが、
高校卒業までの6年間で、どのような準備があるのでしょうか?
進学について:
大学によって、卒業の厳しさは異なるのでしょうか?
(母国語でないので、どの大学も同じ?)
私は理系卒で、他の学科が想像できないのですが、
数式や、プログラミング言語の専攻であれば、言葉は関係ない部分が大きく、
予習、復習が容易ではないかと想像しますが、かえって混乱するでしょうか?
「理工学系に進学された後輩たちの生活は、聞く限りかなりキツそうです」のご回答の中の実験とは、
何の実験のお話しでしょうか?
他に、田舎の親子が日本以外の生活を考える上で、お気づきの点がありましたら、
なんでも良いのでご指摘ください。
質問自体が曖昧であったり、偏っているうえ、
責任を持ち、正確に物事を説明してくださるamikawa様には失礼な質問ばかりですが
「かもしれない」で、かまいません。
どうぞお考えをお聞かせください。
よろしくお願いします。
あ、ブログ主様のチェック後→公開タイプではないですね。
返信削除失礼しました。
中文能力真的很重要,英文授課的大部份超爛的,只有極少數還可以,以電機系而言。
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