2014/07/08

史前史のフィールドトリップ

7月1日に、史前史の先生の企画による、台湾の考古学遺跡発掘現場へ見学に行ってきました。


そもそもこのフィールドトリップが補講として企画された所以は、今年の3月のひまわり学生運動の頃に遡ります。





あの時、立法院に抗議へ出向いたのは学生だけでなく、人類学系の先生も何名か参加していました。そして私たちの史前史の先生もその一人だったわけです。先生は運動に参加するため、3月の二週分の授業を休講とし、期末テストが終わった後、その休みにした分をフィールドトリップという方法で補うことになりました。

ただ、夏休みに入ってすぐに外国に行ったりする学生も多く、このフィールドトリップは自由参加だったため、参加者は私を含めてたった6人、そして引率の先生と、考古学的な陶器の研究をしている先生というメンバーで行われました。

今回訪れた場所は台湾東部の宜蘭縣漢本にある、台湾考古学の住居、墓などの発掘現場でした。私はこのような発掘が現在進行系で実施されている現場を見るのは初めてだったので、まだ地中に埋まっている人骨や木の燃えかす、食料にしていたとみられる魚の鱗を見て、ただただ考古学のロマンを感じるのみでした。先生によると、時代はおよそ1600年〜1700年前のものだそうですが、まだ発掘中で、研究が終わっていないことから、断定を避けていました。ちなみに墓と見られる穴からは、人骨が発掘されましたが、装飾品などは見つかっていないそうです。


考古学の先生曰く、発掘のポイントはサンドイッチだそうです。つまり一層、一層が異なる時代の痕跡であるので、その層を掘り違えてはいけない。考古学者が重視するのは、「何が発掘されたか」よりも「どんなことが分かったか」ということ。特に発掘された物質同士の関連性(コンテキストや、アソシエイトという関係)などから、当時の人類の社会の面貌を明らかにしていきます。

一年次の最初の授業「考古學概論」では、先生が「考古学とは、時空を超えた民族誌である」ということをおっしゃいました。考古学が学問の分類として人類学の一部であるのは、つまり考古学の目的が、過去の人類の社会を明らかにすることであるからでしょう。ちなみにこの分類はアメリカ分類法で、人類学という大きな枠の中で文化人類学、考古学、形質人類学(體質人類學)、言語学という四つのパートに分かれます。台湾大学の人類学系も、このアメリカ式を採用しています。ただ、台湾大学では文学院、人類学系となるのですが、體質人類學などは生物の分野に近い内容でした。この分類では大きな方向としては「文化」方面と、「考古学」方面に分かれると多くの学生は捉えていて(実際には両者は深く結びついているので、どちらも学ばなければいけないのですが)、私は今どちらかというと、考古学方面に興味を持っています。学部内の必修ではどちらも学ぶのですが、選択科目は個々人の興味のある分野の勉強ができるので、三年次以降できれば考古学関連の授業を多くとって行きたいと考えています。

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