2015/01/25

考古学の発掘実習で花蓮に来ています。



1/19から1/31までの二週間、人類学系三年次の必修科目である「考古田野實習」のクラスで、冬休みは発掘の実習をします。そして今私たちは台湾南東部にある、花蓮県の光復鄉のとある遺跡の発掘に来ています。


考古学の発掘は「研究性發掘」と「搶救發掘(日本語では"緊急発掘"」の二つに分かれ、私たちが行なっているのは前者の「研究性発掘」に当たります。(後者はビルや地下鉄などの施工に伴い偶然出土した遺跡を、工事を中断して行うものです。)

考古学発掘調査を行うに当たっては様々な法律があり、誰でも自由に発掘ができるわけではないので、今回大学で考古学を学び、実際に発掘調査に参加できるのは私の人生の中でも大きなイベントです。


発掘は2m×2mの正方形の穴を掘って、一層ずつ掘り進める形で行っています。1グループ5人のメンバーとTA(ティーチングアシスタント)が1~2名ついて発掘を行っています。今のところ四層目まで掘り進めていて、打製石器や土器のかけらなど既に現代のものではない遺物が出土しています。




台湾の考古学と言われても、ほとんどの日本人はイメージがわかないのではないでしょうか?私もまだ台湾考古学のクラスは未修なので、詳しいことは説明できないのですが、台湾には現在のマジョリティである漢民族が入植する以前から、原住民が住んでいました。そしてこの原住民はオーストロネシア語族(マダガスカル島からイースター島まで太平洋に広く分布する各民族を言語学的にグループ分けしたもの)の祖先ではないかと言われています。なので台湾の考古学として先史文化を研究するということは、つまりこの台湾の原住民の祖先、あるいはオーストロネシア語族の祖先の文化についての研究…という感じでしょうか。

今日は発掘はお休みで、各自自由行動です。

五日間の発掘ですが、既に身体のあちこちが筋肉痛です。毎朝8時から16:30まで発掘をしています。発掘中はずっと右手で工具を握って土を掘っているし、かがみっぱなしなので疲れます。また、地面が土なら掘りやすいのですが、掘っている穴はかなり多くの石が混ざっているので、掘るのに時間がかかります。それに出土する土器のかけらも掘り進めるたびに増加しているので、それらを傷つけないよう細心の注意を払わなければなりません。なので体力的にも疲弊しますし、集中力を切らしてはいけないのでとにかく疲れます。

ですが教科書を読むより、実際に発掘する方が確実に好奇心を刺激されます。今日で発掘は折り返しなので、残りの日程、できればペースを上げていければいいなと思っています。

この発掘実習のあと、次の学期ではこれらの資料の整理、分析をして、学術的な発掘調査報告書を作成します。
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