今、まだオランダに滞在中なのですが、先週末から5日間パリへ小旅行してきたので今日はそのお話をしたいと思います。
最初の3日間は有名どころを回ったのですが、後半2日はどこか人類学に関係のあるところへ行こう、というのをテーマに、パリ郊外の国立考古学博物館と、モンパルナス墓地へ行きました。
国立考古学博物館はパリ市内からRER A線でサン=ジェルマン=アン=レー(Saint-Germain-en-Laye)へ行き、そこからは徒歩で1分の所にあります。
この博物館では旧石器時代から中世までのフランス考古学の展示を見ることができます。博物館の概要についてはこちらのサイトに詳しい情報が載っているので、興味のある方はこちらを参考にしてください。
私がこの博物館で一番楽しめたのは旧石器時代と新石器時代の石器や古代の芸術品のコーナーです。大学の二年次に受けた「史前史」の授業で学んだ古代人類の石器類や芸術品の現物を実際に目にすることができて、とても興奮しました。
このSolutreen石器とか、前期の期末テストの時に全部覚えたのが懐かしいです…。ホモ・エレクトス、ネアンデルタール人、ホモ・サピエンスと、時代ごとに異なる技術が見て取れます。
また、ホモ・エレクトスの歯や、彼らの制作した石器が現生人類であるホモ・サピエンスより大幅に大きいのを見て、ホモ・エレクトスの成人の身長はどの位だったのか…や、授業でさんざん登場したナリオコトメ・ボーイのことを思い出したりなどして、この博物館自体が一つの学びと想像の場であるように感じました。個人的には古代人類の中でも特に長期に渡って地球上に繁栄していたホモ・エレクトスにはすごく興味があって、もっと色々知りたいと思っています。
ただ解説がフランス語のみなので、フランス語がわからないと展示物について理解できないという問題があります。実際、私は旧石器時代と新石器時代の展示は授業で習ったという背景があったので、展示物を楽しんで見学することができたのですが、授業であまり詳しく触れていない青銅器、鉄器時代の展示は見所がわからず、少し残念でした。
こちらの動画のコーナーでは、実際に石器を使って、骨細工などを作ったりするムービーを見ることができます。その時代のその土地で手に入る材料から、古代の人類はどのように石器や芸術品を作成していたかを再現する実践考古学的なムービーで、フランス語がわからなくても結構楽しめる内容でした。
古代の人類の芸術品の一つである女神像。胸部、腹部、臀部が強調されているこのフォルムが象徴するものは何なのか、古代の人類の認識について考えを巡らすのは考古学の醍醐味の一つです。また、「象徴」という概念はいつ頃生まれたのか、ネアンデルタール人にもこういった抽象的な認識は可能であったか、などの研究が盛んに行われていると授業で先生が言っていたように思います。
この頭部像はこの博物館でも特に美しい展示品で、私たちが授業で使っていた教科書にも登場していたものです。この精巧な彫刻はわずか指の先ほどの大きさしかありません。これを作った人物がどういう意味を込めてこれを作ったのか、どういう用途で使われたのか、現代の私たちは想像することしかできません。
こんな感じで、考古学に興味のある人にはとても楽しめる施設でした。博物館の建物自体が中世の城であり、チャペルも併設されているとても美しい建築物です。そしてここはパリの有名な観光地ほど混雑しておらず、ゆったりと見学できるのも良い点かと思います。
翌日は、インターネットで私の好きな芸術家であるマン・レイの墓がモンパルナス墓地にあるということを知り、行ってみることにしました。
目当ての墓を探している時に、フランスの社会学者であるエミール・デュルケムの墓もここにあることを知り、探してみることにしました。
デュルケムといえば、前学期の人類學史の第二週目のリーディングで登場して、その文章の難解さに多くの同級生みんなが頭を抱えた…という苦い思い出があります。先生はゆっくり消化していけばいい、学部生でこれを全部理解するのは難しい、と学期を通してフォローしてくれましたが、私は一生理解しきれない気がします…。でも人類学でもデュルケムの理論は切っても切れない関係、なので今後も私たちの前に登場してくると思います…。
今回はここまで。もしパリへ旅行されることがあったら、是非考古学博物館を見学してみてください。
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